不動産投資は、賃貸需要が高い地域で行ったほうが、入居者募集の難易度が下がり、空室期間が短くなりやすく、安定した不動産経営を行えます。
賃貸需要が高い地域というと、東京、大阪、名古屋など主要都市の中心部が想像できます。
本記事では、東京23区内、大阪市、名古屋市の三大都市の各種データを比較することで、不動産投資に適した地域はどこなのかを割り出しました。これからどこの物件に投資しようかと迷っている方は、物件選びの参考にしてください。
三大都市を『人口』で比較するとわかることとは?
不動産の賃貸需要の高さは、その土地で多くの人が暮らしているかどうか、もしくは暮らしたいと考えるかどうかが大きな決め手となります。
現在の数値の比較に加えて、将来の予測のデータも見ていきましょう。
人口密度では東京都区部が他を圧倒!
まず、東京、大阪、名古屋の人口と人口密度を比較してみましょう。
東京都区部と大阪市、名古屋市の人口、面積、人口密度を比較すると下記の表のようになります。
人口(人) | 面積(㎢) | 人口密度(人/㎢) | |
東京都区部 | 9,733,276 | 672.5 | 14,473 |
大阪市 | 2,752,412 | 223.0 | 12,343 |
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名古屋市 | 2,332,176 | 326.4 | 7,144 |
※令和2年国勢調査、令和3年版大都市比較統計年表を参照し筆者作成
日本で最も人口密度が高いのは東京都区部で、大阪市、川崎市、横浜市、名古屋市、さいたま市…と続きます。人口密度において、ランキング上位の川崎市、横浜市、さいたま市も東京近郊の主要都市であるため、首都圏の主要都市に人口が集中していることがよくわかります。
人口増加比率でも関東圏の主要都市が強い!
次にデータを基に各都市の人口の増減を比べてみましょう。
| 2010年 | 2015年 | 2020年 | 2021年12月 |
全国 | 128,057,352 | 127,094,745 | 126,146,099 | - |
東京都区部 | 8,945,695 | 9,272,740 | 9,733,276 | 9,679,649 |
さいたま市 | 1,222,434 | 1,263,979 | 1,324,025 | 1,333,195 |
横浜市 | 3,688,773 | 3,724,844 | 3,777,491 | 3,773,982 |
大阪市 | 2,665,314 | 2,691,185 | 2,752,412 | 2,748,839 |
京都市 | 1,474,015 | 1,475,183 | 1,463,723 | 1,451,958 |
神戸市 | 1,544,200 | 1,537,272 | 1,525,152 | 1,515,907 |
名古屋市 | 2,263,894 | 2,295 638 | 2,332,176 | 2,325,281 |
※令和3年版大都市比較統計年表を参照し筆者作成
全国的には、2010年頃から人口減少が顕著になってきているといわれていますが、主要都市の人口推移を見ると、特にコロナ禍以前の首都圏の主要都市ではむしろ大幅に増えていることがわかります。
大阪市や名古屋市も若干の人口増加傾向にありますが、近隣都市の傾向は首都圏とその他の地域では異なるようです。特に、関西圏の京都市や神戸市を見ると、コロナ禍になるずっと前から人口減少が始まっていることがわかります。
また、リモートワークの普及によって都市部から地方へ人口が流出していると話題になっていましたが、実は都市部に人口が集中の傾向はコロナ禍を経ても大きく変わっていません。東京都区部、さいたま市、横浜市のいずれも2021年12月時点での人口が2015年の国勢調査時点での人口を大きく上回っていることからも明らかです。
また、最近オフィス回帰の傾向が強くなってきていることからも、それにともなった都市部への人口流入が想定されます。
将来的には南関東地方への人口集中がより顕著に!
出典:日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)国立社会保障・人口問題研究所
まず、上記の都道府県別人口の推移の表で、2015年の人口と2045年の人口を比較すると、東京都以外のすべての都道府県で人口が大きく減る想定であることがわかります。
人口の多い都道府県の上位5位の順位は変わりませんが、上位の都道府県の中では特に大阪府の減少率が顕著で、2045年の人口は2015年の約83%と予想されています。愛知県も大阪府ほどではありませんが、2015年の92.2%と大幅に人口が減る見込みです。
不動産投資を行う上では、現在のことだけではなく、30年、50年後も安定した家賃収入を得られるかという視点が重要です。その点では、将来的にも安定した賃貸需要が見込めるのは東京都内のみと言えるでしょう。
三大都市を『企業』で比較するとわかることとは?
生きるために人は働く必要があるため、お金や仕事が集まるところに人も集まります。
上場企業の本社や平均年収の高い企業がどこにあるのか、東京都、大阪府、愛知県の平均年収を比較し、どこにお金や仕事が集まっているのかを見ていきましょう。
上場企業の本社所在地の過半数が東京都内!
『会社四季報』に掲載されている上場企業の本社の所在地を調べると、過半数の企業が東京に本社を置いていることがわかります。さらに、東京に本社を移す企業の数が(転入数)が、東京から他府県に本社を移す企業の数(転出数)を上回っている状態が2002年以降続いています(リーマンショック後の2010年は例外)。また転入元を調べると、大阪、愛知、福岡からの流入が目立ち、東京への一極集中が進んでいることが伺えます。
そのことは、日本で2番目の経済圏である大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)では、帝国データバンクが調査を開始した1991年以降ずっと転出超過の状況が続いていることからも明らかです。
今後もこの傾向が続くと考えられているため、東京と他の主要都市との差はますます大きくなると考えられます。
平均年収の高い企業も東京に集中!
東洋経済オンラインの調査によると、本社だけではなく、平均年収が高い会社もその多くが東京に集中していることがわかります。
一部大阪に本社を置くキーエンスや伊藤忠商事などもランクインしていますが、令和4年賃金構造基本統計調査の都道府県の別の平均賃金を見ると、東京都37万5,500円であるのに対して大阪府は33万900円とその差は明らかです。ただし、全国平均が31万1,800円で、平均を上回る都道府県は東京都、神奈川県(33万5,600円)、愛知県(31万2,600円)、大阪府、兵庫県(31万2,300円)の5都府県のみであることから、主要都市とその他の地域との賃金格差の大きさが伺えます。
三大都市を『大学』で比較するとわかることとは?
特に単身者向けの不動産に投資する場合は、通学圏内にある人気大学の有無が、空室対策の難易度を左右する重要な指標となります。
ただし、少子化が進む昨今においては、どんな大学でも近くにあれば良いかというとそうとは言い切れません。閉校や募集停止する大学も少なくないため、不動産投資を有利にするためには、将来的にも多くの学生が集まることが予想される大学である必要があります。
では、どのような大学近くにあれば安心と言えるのでしょうか。
人気の私立大学の多くが東京に集中!
定員に比べて志願者数の多い大学や、学生数が多いマンモス大学の近くであれば比較的安定した単身者向けの不動産経営ができると考えられますが、人気の私立大学ランキングを見ると、青山学院大学や、慶応義塾大学をはじめとする上位30校のほとんどを東京都内の私立大学が占め、それ以外は関西地方の人気大学である近畿大学や関西大学など数えるほどしかありません。
学生数で比較しても、最も学生数が多いのは日本大学で、2位は早稲田大学、3位立命館大学、4位慶応義塾大学、5位明治大学と、上位5校のうち4校は東京都内にある大学です。
このように、現在だけでなく、将来的にも多くの学生が集まると考えられる大学の多くは東京都内にあることがわかります。
就職に強い大学の約半数は東京にある大学!
学生が大学を選ぶ基準の1つに、就職に強いかどうかというポイントが挙げられます。
大学通信が発表している2022年有名企業400社への就職に強い大学ランキングを見ると、1位の一橋大学、2位の東京工業大学と、上位50校の半数が東京にある大学であることがわかります。
前述のデータからも、東京に優秀な学生が集まり、東京の人気大学を卒業した学生が東京都内にある人気の有名企業へ入社し、他府県で働く人と比べて多くの収入を得るという傾向が続くと考えられるでしょう。
各種データからリスクを読み解こう!
三大都市のデータを比較すると、東京がほとんどの項目で大阪、名古屋を圧倒していることがわかりました。つまり、大阪や名古屋で投資用不動産を購入するよりも、東京で購入した方が、入居者募集の難易度が下がり、空室期間が短くなりやすく、安定した不動産経営ができる確率が高くなるということです。もちろん、大阪や名古屋よりもさらに人が集まりにくい地域であれば、それ以上にリスクは高くなりますので、今回紹介したように各種データを読み解くことで、事前に投資のリスクを推測し、投資判断を行いましょう。
投資のリスクが高い分、利回りが高い地方の物件に出会い、魅力的と感じることがあるかもしれませんが、特に初めて不動産投資をする人にとっては、長期的に高い賃貸需要が続くと考えられる地域の物件を購入するほうが、安定的に不動産投資を続けやすいため、おすすめの選択肢です。
東京の魅力については別記事でより詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
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