不動産投資で失敗しないためには、『リセールバリュー』を意識して物件選定をすることが大切だといわれていることをご存知でしょうか。
本記事では、リセールバリューとは何なのか、なぜ不動産投資においてリセールバリューを意識する必要があるのか、どのような地域の不動産のリセールバリューが高くなりやすいのかに加えて、リセールバリュー以外に不動産投資のリスクを軽減するために意識しておきたいポイントについても解説します。
これから不動産投資を始めたいと考えている方や、投資用不動産を探している方は、ぜひ本記事を参考に投資する物件選びをしてみてください。
リセールバリューとは?不動産のリセールバリューは何で決まる?
リセールバリューとは、不動産や車、高級時計などでよく用いられている、『再販価値』を意味する言葉です。
リセールバリューは下記の計算式で求めることができ、100%超であれば買ったときよりも時間の経過によって資産価値が高くなることを意味します。
リセールバリュー(%)=中古流通時の価格÷新築分譲時の価格×100
例えば、新築時の販売価格が3,000万円で、築10年時点において2,700万円で売買されている物件のリセールバリューは90%となります。この例のように、不動産は新築時の価格が最も高く、入居者がつくか、もしくは竣工後1年を経過すると中古となります。新築時と中古では、価格設定の方法が異なるため、新築から中古になると2割ほど価格が下がることもめずらしくありません。しかし、リセールバリューが高い不動産であれば、新築時から資産価値が下がりにくく、都市部の不動産価格が高騰している近年ではむしろ新築時より資産価値が上昇しているケースも見られます。
従来通り築年数の経過とともに売買価格が低くなる物件(リセールバリューの低い物件)と下がらないもしくは上がる物件(リセールバリューの高い物件)にはどのような差があるのでしょうか。
その主な要因は以下の4つとされています。
- 立地
- 構造
- 築年数
- 管理・修繕状況
なぜこれら4つがリセールバリューを決定する主要な要因となるのか解説します。
立地
どこにある不動産を購入するのかが、不動産投資において最も重要といわれていますが、リセールバリューを左右する最大の要因も立地です。
利用者数の多い主要駅の徒歩10分圏内の物件や利便性の良い地域・治安の良い地域にある物件など、多くの人が住む価値があると考える立地の物件の価格は近年上昇傾向にあり、リセールバリューも高くなります。
都市開発が活発で将来性が高い地域も同様で、新駅ができる予定の地域や大型の商業施設が開業する地域などは、都市開発が進むにつれて不動産の資産価値が上昇する可能性が高いでしょう。
構造
木造や鉄骨造の建物は下記の表のように法定耐用年数がRC造やSRC造の半分程度です。そのため、RC造もしくはSRC造の物件のほうが、資産価値の減少スピードは遅い、つまり築年数が経っても比較的高く売れやすい傾向にあり、リセールバリューも高くなります。
築30年を超えた木造の賃貸アパートが数多く現存しているように、法定耐用年数と使用可能な期間は異なりますが、耐用年数を超えた木造や軽量鉄骨造の物件は購入時よりも大幅に値下がりしてしまうケースが多いため、将来的な売却を想定するのであれば避けた方がよい選択肢でしょう。
住宅用不動産の構造別法定耐用年数は以下の表の通りです。
構造 | 法定耐用年数 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造(S造、3mm以下) | 19年 |
軽量鉄骨造(S造、3~4mm) | 27年 |
重量鉄骨造(S造、4mm超) | 34年 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 |
使用できる機関が長いという点以外にも、地震や火災に強く、遮音性や気密性に優れているなどRC造・SRC造特有のメリットも、売買・賃貸の両方で高い需要につながるため、リセールバリューを高くする要因の1つと考えられます。
築年数
上記の通り、RC造およびSRC造の建物の法定耐用年数は47年で、現在の建築水準で建てられたマンションであれば震度6強~7の地震にも耐え、100年近く使用できるといわれていますが、新耐震基準を満たさない場合はその限りではありません。1981年以前に建築された旧耐震基準の建物は、大地震が来た際の倒壊リスクが高いとされており、多くの人が敬遠する要因となるため、リセールバリューも低くなりやすい傾向にあります。
大地震が来た際の倒壊リスクが高いという意味では、木造や軽量鉄骨造の建物も同様です。
管理・修繕状況
不動産には適切な管理と修繕が欠かせません。適切なメンテナンスを怠ると、建物の劣化を速めることにつながります。そして、どんなに良い立地のマンションで人気の設備がそろったマンションでも、共用部にゴミや自転車などが散乱していたといった理由で入居を断念する人も少なくないでしょう。また、同じマンション内の部屋でも、適切なリフォームが施され、需要の高い設備や間取りの部屋と、新築時からほとんど手入れされていない部屋の2部屋が売りに出された場合、同じ価格であればすべての人が前者を選ぶはずです。後者の部屋は前者の部屋よりもかなり値下げをしなければ売れないでしょう。
リセールバリューと管理や修繕状況にはあまり関係がなさそうに思われがちですが、適切なメンテナンスが施され、管理が行き届いている物件ほうがリセールバリューは高くなるのは当たり前のことなのです。
中古マンションのリセールバリューが高い地域はどこ?
2024年5月に東京カンテイが発表した『中古マンションのリセールバリュー 2023』という調査によると、首都圏における2023年のリセールバリュー最高駅は東京メトロ千代田線の『新御茶ノ水駅』で295.5%、近畿圏ではJR大阪環状線の『大阪駅』で200.7%、中部圏では名鉄常滑線の『新舞子駅』で158.6%でした。リセールバリューが200%を超えているのは、上述の大阪駅以外は全て首都圏の駅で、リセールバリューが高い地域は、ランキング上位30駅のうち12駅を占める港区や、千代田区(7駅)、渋谷区(5駅)などの都心に集中していることが調査結果からわかります。また、首都圏445駅の平均が139.5%で、98.2%の駅が100%以上、90%未満の駅は存在しなかったという点も本調査の注目すべきポイントです。近畿圏でも平均が132.3%で、100%以上を記録した駅は全体の95.9%、中部圏は平均110.5%でリセールバリュー100%以上の駅は全体の77%と、都市部ではいずれの地域でも中古マンション価格の高騰が見られますが、その中でも特に都心で高くなっていることがわかります。
なお、中部圏1位の新舞子駅は例外的に名古屋市の中心部の駅ではありませんが、対象となった物件が高層階に位置する1件のみでその希少性から強気の値付けがされ、高値で売買されたものと考えられています。
リセールバリューが高いマンションの特徴は?
リセールバリューが高いマンションにはどのような特徴があるのでしょうか。具体的に解説します。
利便性が高い立地にあるマンション
前述の通り、リセールバリューが高いマンションは港区、千代田区、渋谷区など都心の駅近に多くあります。通勤や買い物の利便性を重視して物件選びをする人が多くいるため、職場や商業施設へのアクセスの良い立地は高い需要が見込めるためです。
リセールバリューが150%以上の地域の分布がJR山手線エリアに集中していることから、特に利便性の高い都心のマンションのリセールバリューが高くなりやすいことがわかります。
再開発が活発な地域にあるマンション
再開発が活発な地域はリセールバリューが高くなる傾向にあります。現在、都心では活発な再開発工事が行われて、多くの大型マンションや大規模商業施設が新設されています。購入後に、物件の近くに新駅や人気の大型商業施設などの新設が決定した場合は、特にリセールバリューを高く押し上げる要因となるでしょう。
都心の再開発事業については下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/column-4139/
転入者の多い地域にあるマンション
転入超過の状態にある地域の賃貸需要は高い水準を維持するため、リセールバリューも高くなる傾向にあります。過去にはリモートワークの普及に伴い東京都が転出超過になったというニュースが世間をにぎわせたこともありましたが、近年都心への転入者は増加傾向にあり、実際に2023年に転入超過の状態にあったのは全国で東京圏のみでした。
近年の東京の転出・転入の状況については下記記事で詳しく解説していますので、併せてご覧ください。
https://www.ge-creation.co.jp/column/column-5035/
希少性が高いマンション
先述の愛知県新舞子駅の事例のように、需要に対して供給量が極めて少ない物件のリセールバリューは高くなる傾向があります。希少性が高くなりやすいマンションには、例えば、ワンルーム条例規制のある都心のワンルームマンションや、人気学区だがファミリー向けの賃貸物件の少ない地域や持ち家率の低い地域にあるファミリー向けマンションなどが挙げられます。
文教地区にあるマンション
文教地区といわれる地域は治安が良く住みやすいというイメージのところが多く、リセールバリューが高くなりやすい傾向にあります。大学の多い地域にある単身者向け物件であれば学生の賃貸需要が期待できます。都心5区には含まれない地域ですが、都内では文京区などが該当します。
文教地区で注意が必要なのは、一つの大学のみに依存している地域です。唯一の大学が移転してしまうと、一気に賃貸需要が少なくなり、リセールバリューが大幅に低くなるリスクがあるためです。
新耐震基準を満たすRC造・SRC造のマンション
マンションと名の付く建物でもすべてが鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC造)というわけではなく、鉄骨造(S造)のものも存在します。鉄骨造のマンションは耐用年数が短く、遮音性などで劣る傾向にあるため、リセールバリューが低くなりやすいという特徴です。同様に、新耐震基準を満たしていないことでも一般的にリセールバリューが下がる傾向があります。
適切な管理とメンテナンスが行き届いているマンション
前述の通り、管理やメンテナンスもリセールバリューを決定する要因の一つです。
物件の管理やメンテナンスの状況は、実際に現地に赴き、物件を見学すること以外に、修繕履歴を見て確認することもできます。購入後、一人のオーナーの判断で建物の管理を担う会社を変更することはできないため、特に共用部の管理やメンテナンスが行き届いているかを確認しておくことが大切です。なお、専有部の管理に関しては、前オーナーが任せていた会社ではなく、自身が信頼する会社に管理を任せる、修繕やリフォームを加えるなど、購入後に資産価値を上げる余地は存在します。
なぜ不動産投資でリセールバリューを意識すべきなのか?
不動産投資において、なぜリセールバリューを意識する必要があるのでしょうか。具体的に解説します。
収益を最大化させるため
不動産投資において収益を最大化させるためには、リセールバリューが高い物件を買い、長期間安定した家賃収入を得たうえで、資産価値の減少は最小限に留めるのが王道です。
例えば、築15年2,500万円のマンションをフルローンで購入し、20年間、家賃で返済を進めていくと、ローンの残債が約1,200万円になります。その時点で2,000万円で売却できたとすると約800万円が手元に残せる計算になります。家賃収入を得る期間が延び、売却額が高くなると、さらに収益は大きくなります。
リセールバリューが高い物件は、売買だけでなく賃貸の需要も高い傾向にあります。そのため、高い入居率や賃料を維持しやすく、有利に不動産投資を行うことができるでしょう。
リセールバリューが高い物件であれば、インカムゲイン(家賃収入)だけではなくキャピタルゲイン(売買差益)を狙った不動産投資も成り立つ可能性もあります。
リスクを軽減するため
リセールバリューを意識することで、不動産投資のリスクの一つである資産価値の減少リスクを軽減することができます。前段落で紹介したような、リセールバリューが高くなる特徴を持ったマンションを購入することで、売却時に大幅に資産価値が目減りしてしまう可能性や、需要減によって家賃が大幅に下がる可能性、天災リスクなど多くのリスクを軽減ことができるでしょう。
現金化を容易にするため
不動産投資の出口は、一般的に、売却するか、相続対策として持ち続けて配偶者や子どもに相続させるかの2通りです。
後者でも相続した人が相続後売却する可能性が考えられるため、どちらを想定する場合も、後々売却しやすい物件を選ぶことは不動産投資において非常に重要です。
不動産の売却には時間がかかるといわれるため、現金化したいと考えたときに、スムーズに売却できるかどうかは物件次第です。
リセールバリューの高い物件であれば、一定以上の需要が想定されるため、その難易度を下げられ、期間も短くできる可能性が高いでしょう。
不動産投資のリスクを軽減するために意識しておきたいポイントとは?
リセールバリューが高い立地の物件を選ぶということに加えて、不動産投資でリスクを軽減するために意識すべきポイントについて解説します。
中古マンションを選び、資産価値の減少リスクを抑える
一般的に新築~築15年で家賃は平均10~15%下がるといわれています。築15年以降の家賃下落は一般的に緩やかになるため、築15年超のマンションを選ぶことで、新築・築浅マンション特有の資産価値の減少リスクを抑えることができるでしょう。
地域で需要の高い間取りの物件を選び、空室リスク・家賃下落リスクを軽減する
不動産投資において、地域でどのような物件の需要が高いのか事前に調べたうえで物件を選ぶことが大切です。高い需要が続けば、空室リスクや家賃下落リスクも低く抑えることができます。単身者の割合が高い地域でワンルームマンションを持つなど、地域の需要に合った物件選びを行いましょう。
希少性の高い物件を選び、空室リスクと売却リスクに備える
将来的に需要が供給を大幅に上回る状況が続くと想定されている地域や間取りの物件を選べば、空室リスクが軽減し、資産価値の目減りを抑えることができるでしょう。
例えば、近年多くの単身者が東京に転入していますが、都心部にはワンルームマンション条例規制があり、新築に制限があるため、現在中古のワンルームマンションの希少性が高くなっています。このように明確な根拠があって供給量が少なく、今後も希少性が高い状況が続くと考えられる物件を所有することが、失敗しない不動産投資の鉄則です。
適正な設定家賃の物件を選び、家賃下落リスクに備える
パンフレットなどに書かれている利回りはあくまでも想定家賃をベースにしたものです。周辺相場等と比較して、設定されている家賃が適正であることを確認した上で投資判断をすることが大切です。そのひと手間を怠ると入居者が入れ替わる時期に家賃が大幅に下がってしまう危険性があるため、必ず周辺の似た物件と比べて高すぎる家賃設定になっていないか確認した上で購入判断をするようにしてください。
また、家賃下落リスクという意味では、一つの企業や大学に依存している地域の物件もリスクが高くなります。地方の物件であれば、利回りが高くなるケースも多くなりますが、企業や大学の移転により、賃貸需要がなくなってしまう危険性があるため、避けた方が良いでしょう。
RC造・SRC造のマンションを選び地震リスク・火災リスクを抑える
RC造やSRC造の物件を選ぶことにより、火災リスク・地震リスクを軽減することができます。RC造やSRC造であっても、新耐震基準を満たさない物件は地震リスクが高くなるため避けた方がよいでしょう。
なお、RC造、SRC造の物件であれば100年近くもつと考えられているため、長期的に安定した収益が見込めるのもポイントです。長期的に安定した家賃収入を得ることができれば、築年数の経過により多少売却価格が下がったとしても投資としてプラスで着地できるでしょう。
適切な管理ができる会社や人に不動産の管理を任せ、資産価値の減少を抑える
適切な管理は資産価値の減少を抑えるためだけではなく、空室リスクを抑えるためにも必須です。
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リセールバリューを意識して不動産投資をしよう
リセールバリューとは再販価値のことで、リセールバリューを意識して物件選びをすることは、リスクを抑えた不動産投資をするうえで欠かせません。
リセールバリューやリスク軽減という観点でおすすめできる不動産投資は、希少性と高い需要が見込める都心の中古ワンルームマンション投資です。
不動産投資を始める際には、必ず売る際のことを想定し、高く容易に売却できる可能性が高い物件を選びましょう。
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